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(選択を解除)(図書寮文庫)
本草学とは,薬用になる動植鉱物について研究する薬物学の一つ。中国では後漢時代より数多くの本草書が編まれ,奈良時代に遣唐使によってもたらされて以来,日本にも広められた。
本書は,北宋時代の医者宼宗奭(こうそうせき)によって著され,南宋~元の時代(13-14世紀頃)に版木で印刷されて出版されたもの。巻末には,「金沢文庫」印が捺され,かつて鎌倉幕府執権北条氏の一族金沢氏が創設した,金沢文庫旧蔵の書物であったことがわかる。
内容は,玉石部・草部・獣部・穀部など10部から成り,1057種におよぶ薬種について,形態や産地,効能などが記される。画像は,虫魚部のうちの一つ「露蜂房」(ろほうぼう)。いわゆるハチの巣で,現在でも漢方薬の一種として珍重される。
(図書寮文庫)
本書は,中国南宋の陳実(ちんじつ,12世紀頃の人)が,仏教経典の集大成である大蔵経から,事項を抜粋・分類した索引・内容一覧的な仏教書である。
徳川家康が慶長20年(1615)に隠居所駿府(静岡)で出版を命じた「駿河版」(するがばん)と呼ばれる金属活字で印刷した図書のひとつ。家康を深く尊崇する徳川吉宗は,幕府の図書館である紅葉山文庫に,家康の出版物が欠けていたため,元文5年(1740),当時和歌山藩に伝来していたこの大蔵一覧集を取り寄せ紅葉山文庫に収蔵したのである。
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本書は,中国南北朝時代の南朝の宋(5世紀)の時代の皇族であった劉義慶(りゅうぎけい,403-44)が,後漢末から東晋(3-5世紀)の著名人の逸話を集め編纂した小説集である。第一徳行篇,第二言語篇,第三政事篇のように内容によって36の章に分類されている。とりあげられている人物も曹操(そうそう,政治家)や王羲之(おうぎし,書家)など多岐にわたる。本書は,古代中国の著名人の言説や思想などを知ることのできるもので,我が国でも盛んに読まれた。この本は,中国南宋時代(12-13世紀)に刊行された版本(版木で印刷されたもの)で,全3冊。もと金沢文庫に伝えられた。
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本書は,中国・宋の太宗(939-97)の命により李昉(りぼう,925-96)が編纂した類書(百科全書)で,宋・太平興国8年(983)に完成した。天・地・皇王など55部門に分かたれて編纂されている。この本は,南宋時代の慶元5年(1199)前後に刊行された版本で,もと金沢文庫に伝来。のち京都の相国寺に伝わり,同寺の西笑承兌(さいしょうじょうたい,1548-1608)が徳川家康に献上したものである。この本の前半の数十冊は欠けている箇所があり日本で手書きで書写されている。今回は,南宋時代に印刷された冊を掲げた。『太平御覧』は,平安時代末期には平清盛らによって輸入されていたことが知られ,いく組かが日本にわたってきている。
(図書寮文庫)
本書は,孔子の『論語』を魏の何晏(かあん,?-249)が注釈し,宋の邢昺(けいへい,932-1010)が疏(そ,詳細な注釈)を加えて成ったものである。この本は,南宋の寧宗時代(12世紀末-13世紀)に刊行された版本で,もと金沢文庫に伝えられた。宋版の同書は,中国に遺っていなかったため,昭和4年(1929)にはこの本をもとにしたコロタイプ印刷(写真を使った特殊印刷)による複製が中国で出版されている。『論語』理解に資する注釈書として尊重されたものといえる。