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我が国の琵琶のおこりは,遣唐使藤原貞敏(さだとし,807-67)が唐の廉承武(れんしょうぶ)より奏法を学び,その技術を持ち帰ったことに始まるとされる。本系図は,それから鎌倉時代に至るまでの相伝の系譜で,50余名におよぶ人名が記されている。中には「従三位源博雅」「太政大臣藤原師長」など朝廷に重きをなした公卿のほか,「賢円」「院禅」など僧侶や「尾張尼」「息女」などの女性もみえる。のちに琵琶の相伝には西流(にしりゅう)・桂流(かつらりゅう)の二つの流派が発生し,西流は鎌倉時代の公卿西園寺公経(さいおんじきんつね,1171-1244)までが本系図に記載される。公経は,朝廷の要職にあって鎌倉幕府とも緊密な関係を築いた公卿で,琵琶や和歌にも優れた功績をのこした。一方の桂流は僧春円まで記載され,その箇所に「系図に入れおわんぬ。正応四年(1291)十月五日清空(花押)」と書き込みがあり,本系図のおおよその成立年代が判明する。
(図書寮文庫)
本書は,鎌倉時代に官人小槻(おづき)氏が皇統やそれに関する先例等を度々勘進(調査・報告)した文書群で,10数点が一巻にまとめられているもの。画像は,弘安4年(1281)に勘進された神武天皇以来の天皇の系図(末尾)。後宇多天皇(1267-1324,91代)から花園天皇(1297-1348,95代)までの5代が「当今」(=今上)と記されており,両統迭立(持明院統・大覚寺統両皇統の交互の即位)期に書き継がれていたことがわかる。また,現代の代数の数え方(明治期に確定)とは異なる点も見られる。
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本書は,和銅元年(708)に但馬国朝来郡(現在の兵庫県朝来市)の粟鹿(あわが)神社の祭主神部直(かんべのあたい)氏が朝廷に上申したとされる祭神粟鹿大明神の系図である。素戔嗚尊に始まり,大国主命を経て上申者の神部直根〓《門+牛》まで,29代の系譜が記されている。鎌倉時代の写しだが,紙を縦にし,特殊な記号や表現を用いて書き連ねる竪系図(たてけいず)と呼ばれる原初的な形態を伝える貴重なものである。
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本書は,鎌倉末~南北朝時代に起きた美濃国船木荘只越郷(ただこしごう,現在の岐阜県瑞穂市)をめぐる争いにおいて,当事者の一方の法眼盛祐が暦応2年(1339)に朝廷(北朝)に提出した訴状である。本文のあとに,参考資料として由緒を示す関係文書を書写したものとともに当事者双方の系図が付されており,盛祐が自らの相伝の正当性を示す論拠のひとつとしている。紙継目の裏には,訴訟の担当者である北朝の廷臣柳原宗光(1322-47)の花押が書かれている。
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本書は,『源氏物語』の登場人物を整理した系図である。奥書によれば,本書は室町時代前期の駿河国の守護で歌人としても知られた今川範政(のりまさ,1364-1433)の著作で,江戸時代中期の河内狭山藩主で文武に秀でた北条氏朝(うじとも,1669-1735)が写したものとされている。『源氏物語』には数多くの人物が登場することから,その理解を助けるために早くから系図が作られ,講読に利用された。
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本書は,嵯峨天皇(786-842,52代)から後村上天皇(1328-68,97代)までの箏(琴の一種)の師承関係を,南北朝時代に書写された系図である。箏は笙や篳篥などと異なり,女性もしばしば演奏した楽器であり,本書にも天皇や摂関,大臣などの貴族のほか,皇女や女房など女性の名も多く見える。末尾は後醍醐天皇皇女,後村上天皇,長慶天皇(1343-94,98代)と南朝方における相伝関係を示している。
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本書は,朝廷に仕えた医師の和気(わけ)・丹波(たんば)・惟宗(これむね)3氏と陰陽師の賀茂(かも)・安倍(あべ)2氏の系図である。江戸時代に書写されたもので,5氏とも古代の始祖から室町時代の人物までの親子兄弟関係と官職等が記されている。朝廷では平安時代後期から江戸時代に至るまで,医道や陰陽道などの専門的技能とそれにかかわる役職を,こうした特定の家が家業・家職として独占的に継承したのであった。
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清和源氏と徳川氏の系図各1鋪からなる江戸中期の版本。それぞれ,清和天皇と徳川家康の父広忠(ひろただ)を円の中心として,同心円状に徳川将軍家の系譜を中心に記述している。冊子状の系図は,世代が進むに従って頁を繰る必要があるが,この資料は各世代を同心円内に記載することで,一見して世代関係が把握できるようにしようとしたものと思われる。