時代/地域/ジャンルで選ぶ
(図書寮文庫)
赤穂浪士討入り時の吉良家の屋敷図。堀部安兵衛,大石主税(ちから)など,建物を取り囲む各浪士の配置位置が朱字で記され,臨場感あふれる仕上がり。文政13年(1830)の写しで,100年以上前の討入りへの関心の高さを示す。
(図書寮文庫)
平安時代中期の日記。記主は右大将道綱母として知られる藤原倫寧女(ふじわらのともやすのむすめ、?-995)。冒頭から4行目に『百人一首』でも有名な「なげきつゝ」の歌が記されている。
天暦9年(955)冬、新しく通う所ができて訪れが途絶えがちな夫・藤原兼家が、暁方に戸を叩いてきた。余所からの帰りだろうと、道綱母は応対せずにいた。そして翌朝、「嘆きつつひとり寝る夜の明くるまはいかに久しきものとかは知る(あなたの訪れがないと嘆きながら、独りで寂しく寝る夜が明けるまでの間は、どんなに長いものか、ご存じでしょうか)」と、いつもより改まった書きぶりで色変わりした菊につけて送ったところ、兼家は「あくるまでもこゝろみむとしつれど(夜が明け、扉が開くまで様子をみようと思ったけれども)」急用の召使が来てしまったからと言い訳をして、「扉を開けてもらえないのもつらいのだよ」と歌を返している。
なお、この図書寮文庫本は江戸前期の写本で『蜻蛉日記』の最善本とされる。題簽(だいせん、表紙に貼られた題名や巻数が書かれた小紙片)は霊元天皇(1654-1732)宸筆。表紙に貼られたラベルの「東京図書館」は現在の国立国会図書館のことで、明治8年(1875)から昭和11年(1936)まで貸し出されていた。